日本臨床外科学会雑誌
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症例
2度の肝切除術を施行した成人型シトルリン血症を背景とした肝細胞癌の1例
小林 仁存川岸 直樹宮城 重人中西 史
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2016 年 77 巻 1 号 p. 154-160

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抄録

症例は71歳の男性.68歳時に異常行動で発症し,遺伝子検索を含めた精査の結果,成人型シトルリン血症と診断された.外来通院中の定期腹部超音波検査にて肝S7の充実性腫瘍を指摘され,造影CT・プリモビスト造影MRIで早期濃染パターンを示し,肝細胞癌疑いの診断で当科紹介となった.肝S7部分切除術を施行し,病理組織学的に高~中分化型肝細胞癌と診断された.術後6カ月目に切除部近傍に再発をきたし,再度,肝S7部分切除術を施行した.切除範囲を最小限に留め,術後早期に個人対応食の経口摂取およびアルギニン製剤・ピルビン酸製剤を再開することで順調な経過が得られた.成人型シトルリン血症に肝細胞癌を併発した報告は散見されるが,外科的切除を行った報告は少なく極めて稀な症例と考えられたため,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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