日本臨床外科学会雑誌
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症例
同時性肝転移切除後10年生存している食道癌の1例
影山 優美子網倉 克己福田 俊國土 貴嗣高橋 遍坂本 裕彦
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キーワード: 食道癌, 肝転移, 肝切除
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2016 年 77 巻 1 号 p. 50-54

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抄録

症例は57歳の男性.胸部食道癌,肝S6に径18mm,単発の肝転移の診断で,右開胸開腹食道亜全摘,肝S6部分切除術を施行.術後病理診断は食道癌,pT3N2M1(肝),Stage IVbであった.術後補助化学療法としてFP療法を施行.術後5カ月目に小脳転移を認め,腫瘍切除後,全脳照射を施行した.FP療法を再開後,初回術後1年7カ月目で左肺転移1箇所,右腎転移1箇所を認め,DTX+CDGPに変更.その後,右腎転移は消失し,左肺転移に対して肺部分切除を施行した.以後は無治療で経過観察を行い,初回手術後10年4カ月現在,無再発生存中である.食道癌肝転移は多発症例や他臓器転移を伴う症例が多く予後不良であり,外科的切除の適応はないと考えられている.しかし,単発症例では長期生存例の報告もあり,外科的切除も検討すべきと考えられた.

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