日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡補助下に切除した虫垂腺腫を先進とした完全虫垂重積症の1例
岩倉 伸次中瀬 隆之坂田 好史嶋田 浩介
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2016 年 77 巻 1 号 p. 79-82

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抄録

比較的稀な虫垂腺腫を伴った完全虫垂重積症を経験した.年齢は78歳の男性で便潜血反応陽性を指摘され,近医で大腸内視鏡検査を施行された.盲腸に絨毛様の腫瘤を指摘され,生検でGroup IIIにて治療目的に紹介された.腹部は平坦軟で腫瘤は触知しなかった.CTで盲腸の壁肥厚と,大腸内視鏡検査で虫垂開口部から盛り上がった絨毛様の腫瘤を認めた.腫瘍生検では,悪性所見は認めなかったが早期癌の可能性もあるために腹腔鏡下に回盲部切除術を行った.摘出標本では,虫垂が完全に内翻されており,1976年にAtkinsonが発表した虫垂重積症の中で,完全虫垂重積症であるE型であった.病理診断では明らかな悪性所見は認めなかった.術後経過は良好にて14病日に退院された.

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