日本臨床外科学会雑誌
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症例
悪性転化が示唆された良性転移性肺平滑筋腫の1例
佐藤 幸毅藤崎 成至望月 哲矢先本 秀人江藤 高陽
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2016 年 77 巻 10 号 p. 2451-2456

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抄録

症例は57歳,女性.42歳時に子宮筋腫に対し子宮全摘術を施行.健診で胸部異常陰影を指摘され,精査加療目的で当院に紹介受診となった.胸部CT検査で左肺S10に23mm大の結節影を認め,その他10mm以下の結節影を両肺に多数認めた.腫瘍マーカーはいずれも基準範囲内で,また,FDG-PETで異常集積を認めなかった.その後,左肺S10の結節影が30mm大と増大したために,診断目的で左肺S10の胸膜表面に存在する小結節に対して胸腔鏡下肺部分切除を施行した.良性転移性肺平滑筋腫の診断を得た後に,ホルモン療法を施行した.左肺S10の結節影は一時的に縮小したが,再度増大傾向を認めた.同腫瘍を原発とする悪性腫瘍を疑い,初診時より5年目に開胸肺部分切除を施行した.病理組織学的所見より,良性転移性肺平滑筋腫が悪性転化した可能性が考えられた.良性転移性肺平滑筋腫が悪性転化した報告例は稀であり,文献的考察を加えて報告する.

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