日本臨床外科学会雑誌
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症例
同時性多発肺癌術後対側肺に発生した大細胞神経内分泌癌の1例
寺田 満雄幸 大輔中前 勝視佐藤 慎哉
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2016 年 77 巻 10 号 p. 2457-2462

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抄録

症例は73歳,男性.71歳時,交通事故を契機に偶然発見された左上葉肺癌(混合性腺癌,扁平上皮癌の同時性多発肺癌)に対して胸腔鏡補助下左上葉切除術を施行した.術後2年の経過観察CTで右上葉結節が出現し,画像所見から転移性肺腫瘍が疑われたが,第二原発性肺癌の可能性も否定できず,手術治療の適応があると判断した.病変は肺末梢の小病変であり,肺楔状切除術でも根治性を損なわずに残肺機能温存することが可能と考え,胸腔鏡補助下肺楔状切除術を施行した.術後病理結果にて,大細胞神経内分泌癌であることが判明した.
異時性多発肺癌の診断は再発や肺転移よりも予後良好とされ,その可能性が否定できない限り積極的な手術が望まれる.しかし,術後はADL低下の可能性もあり,患者背景に十分留意し,手術適応やその術式を決定する必要がある.

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