日本臨床外科学会雑誌
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症例
破裂した金属片による肺穿通傷の1例
小林 理久米田 浩孝寺田 志洋柳谷 信之
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2016 年 77 巻 10 号 p. 2474-2479

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抄録

症例は46歳,男性.銅製製品のプレス作業中,誤作動で負荷が掛かり,製品との接触部にあたるプレス機側の超硬鋼材が破損し,複数の金属片が飛び散り受傷.近医で精査の結果,右胸腔内に金属濃度の異物が確認され,右血気胸に対して胸腔ドレーンを挿入後,当院に搬送された.右外傷性血気胸,右肺内異物,右肺挫傷(穿通傷)の診断にて緊急手術を施行.
6.5cm長の右腋窩切開下に右第4肋間で開胸し,胸腔鏡補助下に手術を行った.多量の血腫を認め,最終的には右胸腔内血腫および血液を1,600g除去した.右鎖骨下第2肋間から右胸腔に穿通し,右肺上葉内を貫通した金属片を肺裂傷の出口にあたる部位で確認した.穿通傷を全て含む形を意図しながら右肺上葉の部分切除を行った.輸血なし.術後3日目に胸腔ドレーンを抜去し,特に合併症なく11日目に退院.
破裂した金属片が胸壁から肺を穿通した稀な1例に対し,緊急手術を施行し良好な経過を経た.

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