日本臨床外科学会雑誌
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症例
乳房内出血をきたした80歳以上乳癌の2例
近藤 優石黒 清介森 美樹石川 衛笹本 彰紀宮本 康二
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キーワード: 超高齢者, 乳癌, 破綻出血
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2016 年 77 巻 2 号 p. 296-302

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抄録

1症例目は85歳,女性.デイサービスでの入浴時に左乳房の皮下出血班を指摘され,当院外科を受診した.エコーでは,皮下出血部と一致する左C領域に多角性で境界粗雑な低エコー腫瘤を認めた.2症例目は86歳,女性.2週間前に急に右乳房にしこりが出現したため近医を受診後に,当院外科を受診した.エコーで右AC領域に嚢胞性,楕円形で境界明瞭な低エコー腫瘤を認めた.2症例とも針生検で乳癌と診断,全身検索で遠隔転移が無いことを確認し根治術を施行した.現在,わが国は高齢化社会であり,特に85歳以上の超高齢者の場合は定期的な乳がん検診は受けずに家族や施設のスタッフが,しこりや皮膚浸潤による皮膚病変などで乳腺腫瘤に気づくことも少なくない.また,乳腺腫瘤はしこりを主訴として来院することが多いが,乳房内出血で腫瘤が見つかることは比較的稀である.明らかな外傷の既往が無い乳房内の破綻出血から発見された乳癌の2例を経験したので報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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