日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
上行結腸間膜原発未分化多形肉腫の1例
松下 和香子鈴木 茂貴藤原 康博古川 博之
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 77 巻 2 号 p. 382-387

詳細
抄録

症例は78歳,男性.持続する発熱と全身倦怠感のため入院.右下腹部に手拳大の腫瘤を触知し,腹部CTで上行結腸内側に境界明瞭,内部に低吸収領域を伴う7cm大の腫瘤を認めた.下部消化管内視鏡検査で上行結腸に粘膜下腫瘍様の病変を認めたが,確定診断に至らなかった.発熱とCRP高値,肝機能異常も持続し保存的治療で改善がみられなかったため,診断目的も兼ねて開腹手術を行った.約7cm大の腫瘤を上行結腸間膜内に認め,回盲部切除術を施行した.病理組織学的検査の結果,腸間膜原発と考えられる未分化多形肉腫と診断された.術後補助化学療法は行わず,現在術後1年7カ月経過したが無再発生存中である.本疾患は症例報告も少なく,その特徴は未だ明らかにされていないが,完全切除によって長期予後が得られる可能性があるため,根治的な手術を心がけることと,更なる症例の蓄積が重要と思われた.

著者関連情報
© 2016 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top