日本臨床外科学会雑誌
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症例
膵全摘を施行した脾静脈内腫瘍栓を伴った膵管内管状乳頭腫瘍の1例
永井 英雅湯浅 典博竹内 英司後藤 康友三宅 秀夫宮田 完志小林 寛子藤野 雅彦
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キーワード: ITPN, 膵管内腫瘍
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2016 年 77 巻 3 号 p. 650-656

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抄録

症例は61歳の男性で,健診で糖尿病を指摘されたため当院を受診した.腹部CTで主膵管は内部に腫瘤が充満してびまん性に拡張し,脾静脈内に腫瘤を認めた.腹部超音波検査では主膵管内に充満する,無エコー部を伴う粗雑な低エコー腫瘤を認めた.膵管内乳頭粘液性腫瘍と診断し膵全摘術を施行した.病理組織学的に膵管内に腫大した核を有する異型円柱上皮が管状乳頭状に増殖し,壊死を伴ったが粘液の産生は認めなかった.免疫染色ではCK7・CK19陽性,MUC2陰性で脾静脈内腫瘍栓を伴う膵管内管状乳頭腫瘍(ITPN)と診断した.ITPNは2010年に初めてWHO分類に記載された比較的新しい疾患で稀な腫瘍であるが,膵管内に腫瘤を形成する疾患として鑑別が重要である.

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