日本臨床外科学会雑誌
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症例
フルベストラントが有効であった非手術86歳乳癌の1例
末廣 修治橋本 崇史亀井 美玲小副川 敦宮脇 美千代杉尾 賢二
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2016 年 77 巻 4 号 p. 780-784

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抄録

症例は86歳,女性.左乳房の変形,ひきつれを主訴に当院を受診し,左乳癌,cT2N0M0 stage IIA,ER:3b,PgR:2,HER2:1+と診断された.高齢のため侵襲的な治療は希望されず,ホルモン療法を開始した.アナストロゾール投与開始3カ月後,腫瘍の一時的な縮小を認めたが,投与7カ月目の検査で再増大を認め,フルベストラント(FUL)に変更した.治療開始後,腫瘍は増大せず(SD),以後1年間SDを継続した.乳癌診療ガイドラインによると,高齢乳癌症例に対しても非高齢者と同様に手術療法が標準となっている.しかし,高齢・併存疾患・死生観などを理由として手術の同意が得られない患者は一定数存在する.われわれは手術の同意が得られない高齢乳癌患者に対してフルベストラントを使用し,長期のSDを維持した症例を経験したので報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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