2016 年 77 巻 4 号 p. 931-937
症例は60代,男性.耳下腺の悪性多形性腺腫術後,3年8カ月を経て肝S6にPET/CTにて集積を認めた.各種血液・画像検査を行った後に,転移性肝腫瘍の可能性を考え肝生検ではなく診断的治療目的に腹腔鏡下肝部分切除術を行った.病理組織学的検査では好酸球浸潤を伴う類上皮肉芽腫を認め,最終的に肉芽腫の原因は不明であったが腫瘍・悪性所見は認めなかった.転移性肝腫瘍との鑑別が困難であったが,播種のリスクを回避して侵襲の少ない腹腔鏡手術によって診断的切除を施行した1例を経験したため,若干の文献的考察を加えて報告する.