日本臨床外科学会雑誌
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症例
総肝動脈走行変異を伴う胆管癌の1例
坂部 龍太郎山口 拓朗長谷 諭田原 浩布袋 裕士前田 佳之
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2016 年 77 巻 4 号 p. 949-954

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抄録

稀な総肝動脈走行変異を伴う胆管癌の1例を報告する.症例は69歳,女性.心窩部痛と倦怠感を主訴に近医を受診し,皮膚黄染を認めたため当院紹介となった.造影CT検査で遠位胆管に造影効果を伴う腫瘤を認めた.ERCP検査では総胆管に狭窄を認め,胆管擦過細胞診で腺癌と診断した.3D-CT angiographyでは,腹腔動脈から分岐した総肝動脈が膵背側から膵下縁を通って膵頭部前面を頭側に走行する走行変異を認めた.総肝動脈走行変異を伴う胆管癌と診断し,変異総肝動脈を温存した亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.病理組織学的検索では管状腺癌と神経内分泌腫瘍が混在し,それぞれの成分が30%以上を占めていたため,mixed adenoneuroendocrine carcinomaと診断した.術後補助化学療法としてS-1を開始し,術後10カ月経過した現在,再発徴候なく外来通院中である.

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