2016 年 77 巻 5 号 p. 1028-1032
症例は14歳,女性.1年半前より左乳房乳頭分泌と乳房の左右差を自覚していた.近医を受診し,左乳房腫瘤が疑われ当院紹介となった.左乳房に約5cm大の弾性硬の腫瘤を触知し,マンモグラフィにて境界明瞭な高濃度腫瘤,乳房超音波検査にて長径8cmの辺縁明瞭な腫瘤を認め,内腔に突出する乳頭状の充実性部分を伴い混合性パターンを示した.術前診断では嚢胞内癌もしくは嚢胞内乳頭腫が疑われた.しかし,病理組織学的検査にて嚢胞壁は線維組織の増生,充実性部分では乳腺組織および線維性間質の増生を認め,若年性線維腺腫と診断した.術後経過良好で術後5日目に退院となり,術後7年経過したが,現在のところ再発を認めていない.