2016 年 77 巻 5 号 p. 1122-1128
症例1:神経線維腫症1型(以下NF1)の42歳,女性.下血の精査で小腸内視鏡検査を行ったところ,小腸に粘膜下腫瘤とそのすぐ肛門側に隆起性病変を認めた.出血源と判断し,小腸部分切除術を施行し,小腸腸間膜に結節を認めたため摘出した.小腸腫瘍の病理診断はそれぞれGISTと神経内分泌腫瘍(以下NET)で,腸間膜結節もGISTであった.
症例2:NF1の73歳,女性.高血圧の精査でCT検査を行ったところ小腸に腫瘤を認め,カプセル内視鏡で十二指腸に1つ,小腸に3つの腫瘤を認めた.腹腔鏡補助下に小腸部分切除術を施行した.なお,十二指腸腫瘤は全身状態が不良のため切除しなかった.病理診断は小腸腫瘍のうち2つはGIST,1つはNETであった.
NF1に小腸GISTと小腸NETを併存することは非常に稀であり,文献的考察を加え報告する.