日本臨床外科学会雑誌
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症例
虫垂真性憩室症の1例
松本 亮橋本 敏章前川 恭一郎山口 泉北島 正親長置 健司伊藤 裕司古井 純一郎
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2016 年 77 巻 5 号 p. 1134-1137

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抄録

症例は56歳,男性.右下腹部痛が出現し,徐々に増強してきたため受診した.腹部は平坦・軟であったが,右下腹部に圧痛を認めた.腹部CTで虫垂にブドウ房状の多数の憩室を認めた.また,虫垂は8mm大に腫大しており,周囲脂肪識濃度上昇も認めた.虫垂炎および虫垂憩室症の診断で虫垂切除術を行った.虫垂はブドウ房状の多数の憩室を有していた.虫垂は肥厚していたが穿孔や膿瘍形成は認めなかった.病理組織学的所見では筋層を有した真性憩室を多数認めた.虫垂粘膜内にはリンパ球や形質細胞が主体の慢性の炎症細胞の浸潤を認め,虫垂真性憩室炎および虫垂炎の診断となった.虫垂憩室症は比較的まれな疾患であり,その中で真性憩室症はさらにまれな疾患である.今回われわれは,術前に診断しえた虫垂真性憩室症の症例を経験したため,若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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