日本臨床外科学会雑誌
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症例
オクトレオチドによる術後補助療法の有効性が示唆される直腸NECの1例
南 貴人西平 友彦三木 明寛鈴木 貴久大谷 剛北村 好史荻野 哲朗
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2016 年 77 巻 5 号 p. 1192-1196

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抄録

80歳台,女性.肛門部痛を主訴に受診した.肛門部に硬い隆起性病変を認め,腹部CTやMRIでは直腸から肛門にかけて巨大な腫瘍を認めた.生検にてKi-67指数が極めて高い低分化な腫瘍と診断され,腹会陰式直腸切断術を施行した.切除標本の病理組織検査では,腫瘍細胞の大部分に神経内分沁マーカーが免疫組織化学染色により検出されneuroendocrine carcinoma (NEC)と診断した.また,Somatostatin receptor type 2との強陽性反応が認められた.本例は全身化学療法が困難なため,オクトレオチドの効果を期待して術後補助療法としてオクトレオチド(LAR製剤30mg筋注4週毎に継続)を単独投与した.術後2年無再発生存中である.一般的に直腸NECは極めて予後不良であるが,オクトレオチドによる術後補助療法の有効性が示唆される症例を経験したので報告する.

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