日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
胃噴門部粘膜下腫瘍に対する胃内手術
西村 廣大太田 俊介池山 隆川合 亮佑
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2016 年 77 巻 6 号 p. 1317-1323

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抄録

当院において,胃噴門部の管内発育型胃粘膜下腫瘍4症例に対し胃内手術を施行した.腹腔鏡と経口胃内視鏡を併用し,胃壁内外より腫瘍を観察しながら胃内留置用ポートの位置を決め,胃壁と腹壁を固定した.12mmバルーン付きポートと5mm VersaStepTM(COVIDIEN社)ポートを胃内に留置し,腹腔鏡観察下または経口胃内視鏡下に自動縫合器で胃内腔から腫瘍を切除した.手術時間は平均254分,出血量は平均30.5ml,術後在院日数は平均10.3日で術後合併症は認めなかった.全例で胃の変形はほとんどなく,術後の噴門狭窄や胃食道逆流も認めなかった.胃噴門部の手術では胃の変形や逆流防止機構の破壊が問題となるが,胃内手術ではその危険を回避でき,胃内腔からの切除は有用と考える.

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© 2016 日本臨床外科学会
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