日本臨床外科学会雑誌
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症例
化学療法後に治癒切除可能となったStage IV胃小細胞癌の1例
松本 奏吉仲田 興平田中 吏佐許斐 裕之本下 潤一一宮 仁
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2016 年 77 巻 6 号 p. 1422-1427

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抄録

化学療法後に治癒切除しえたStage IV胃小細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は63歳,男性.2011年8月に腹部腫瘤および腹部膨満感を自覚し,進行胃癌の診断で当科紹介となった.術前診断で非治癒因子はなく手術を施行したが,腹腔洗浄細胞診陽性で切除不能と判断し,腫瘍生検のみで終了した.組織型は小細胞癌であり,化学療法としてCDDP+CPT-11を7コース,CPT-11を12コース施行した.腫瘍は一旦ほぼ消失したが,2014年4月の上部消化管内視鏡検査で新たに隆起性病変が出現,生検で腺癌を認めた.その他に新規病変はなく,初回手術から2年9カ月後の2014年9月に腹腔鏡下胃全摘出術を施行した.現在,初診後4年の長期生存を得られている.一般に胃小細胞癌は予後不良で,確立した治療法はないが,適切な化学療法およびR0手術を行うことで予後の改善が期待できると考える.

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