日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢摘出から26年後に発症した遺残胆嚢管癌の1例
坂本 聡大蒲池 浩文敦賀 陽介横尾 英樹神山 俊哉三橋 智子武冨 紹信
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2016 年 77 巻 6 号 p. 1529-1534

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抄録

症例は70歳,女性.心窩部痛を主訴に近医を受診した.26年前に胆石症に対し胆嚢摘出術の既往があり,CTで総胆管の壁肥厚や狭窄を認めず中部胆管右腹側に2.2cmの腫瘤性病変を認めた.遺残胆嚢管癌が疑われ当科を紹介受診した.EUS-FNAの生検結果は腺癌であり遺残胆嚢管癌と診断した.肝左葉の萎縮と右門脈と右肝動脈前区域枝までの浸潤があり,門脈前区域枝塞栓後に肝左三区域切除,肝外胆管切除,右肝動脈・門脈合併切除を施行した.切除標本は遺残胆嚢管合流部に潰瘍性病変を認め,病理診断は高分化型管状腺癌であった.胆嚢管に上皮内病変を認め,胆嚢管原発が示唆された.原発性胆嚢管癌は,胆道癌の中でも比較的稀であり遺残胆嚢管癌の報告は検索しうる限り自験例を含め10例と少ない.遺残胆嚢管癌は胆嚢管閉塞に伴う症状が無いため臨床症状に乏しく,診断時には進行している症例が多い.稀な遺残胆嚢管癌の1例を経験したので報告する.

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