日本臨床外科学会雑誌
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症例
単孔式腹腔鏡下に切除した尿膜管洞の3例
成田 知宏國光 敦高橋 洵阿佐美 健吾高橋 一臣佐藤 智行矢嶋 信久
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2016 年 77 巻 6 号 p. 1557-1561

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抄録

尿膜管遺残に対し単孔式腹腔鏡下に手術を行い,良好な経過を得た3例を経験したので報告する.症例は13歳から42歳の男性2例・女性1例で,いずれも繰り返す臍炎を訴えて来院した.いずれも尿膜管洞の症例であった.抗菌薬投与を行い,炎症が軽快したのちに手術を施行した.臍窩単一創より,3ポートを留置し,遺残尿膜管を摘出した.摘出後欠損腹膜を縫合し,閉腹,臍形成術を行った.平均手術時間は137分,出血量は少量で,平均術後在院日数は3日であり,いずれも術後経過は良好であった.既報では腹腔鏡下尿膜管摘出術後の腹膜縫合は行われていない例が多いが,若年症例が多い疾患であり,長期の予後を考慮すると腹膜縫合は行う方が望ましいと,われわれは考えている.単孔式腹腔鏡下尿膜管摘出術は美容性に優れ,簡便かつ安全に施行可能であり,尿膜管摘出術の標準手術となり得ると考えている.

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