日本臨床外科学会雑誌
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症例
内視鏡下食道癌術後の後縦隔経路に内ヘルニアをきたした1例
石井 亘飯塚 亮二
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2016 年 77 巻 7 号 p. 1631-1634

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抄録

症例は79歳,男性.2013年に胸腔鏡・腹腔鏡下食道亜全摘術,細径胃管再建法による後縦隔経路再建を施行され,経過観察中であった.術後から約6カ月経過した2014年某日,嘔吐と腹痛により搬入となった.腹部造影CT検査にて左横隔膜脚から縦隔内に嵌入した小腸を認め,内ヘルニアによる腸管壊死と診断し,緊急開腹手術の運びとなった.術中所見は,食道裂孔を通して挙上された胃管の左側より回腸が嵌入し,嵌入腸管の壊死を認めたため,回腸部分切除術を施行した.食道癌術後の再建経路を介した内ヘルニアの報告は稀であり,その原因は様々である.本症例での原因を鑑みると食道癌術後の食事摂取が極端に低下していたこと,BMIが19.1と痩せ型であり,挙上胃管の腸間膜脂肪の減少により,食道癌術直後より食道裂孔が開大したため小腸が同部位に嵌入したとも推察される.また,腹腔内の癒着も軽度であったことも原因の一つと考えられる.

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