日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後6年目に骨転移が出現した直腸癌の1例
有末 篤弘藤澤 健太郎野田 宏伸御供 真吾玉澤 佳之
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キーワード: 直腸癌, 骨転移, 再発
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2016 年 77 巻 7 号 p. 1753-1756

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抄録

症例は44歳,男性.前医で直腸癌にて超低位前方切除術+D3郭清施行.RbP,3型,pA,pN0,cM0,pStage II,R0,CurA,術後補助化学療法としてUFT 600mg/日を6カ月間内服,5年間経過観察し再発なく終診となった.術後6年9カ月目,腰痛と右臀部から下肢の痺れを自覚し,初診.仙骨生検の結果,直腸癌由来の転移性骨腫瘍の診断で,他の部位に再発を認めなかった.FOLFOX+Bmab,同時にzoledronic acidを開始.化学療法中,疼痛の増強を認め,鎮痛目的に放射線照射を実施した.疼痛は緩和され,化学療法を再開,現在継続中である.Stage IIで術後5年以上の再発頻度は0.94%と少なく,本症例は診断に至るまで約2カ月を要した.骨転移のみの場合は比較的予後良好という報告があるが,早期の診断が必要であると共に集学的かつ個別的な治療が重要になってくる.

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© 2016 日本臨床外科学会
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