日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に診断・治療した子宮円靱帯平滑筋腫の1例
中川 顕志大山 孝雄
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2016 年 77 巻 7 号 p. 1827-1830

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抄録

症例は42歳,女性.右鼠径部腫瘤を主訴に受診し,右鼠径ヘルニアの診断で腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内の観察ではヘルニア門を認めなかったが,腹膜前腔を剥離したところ内鼠径輪と右鼠径管内に子宮円靱帯から連続する腫瘍性病変を認めた.子宮円靱帯原発腫瘍と診断し,腹腔鏡下に腫瘍を切除しメッシュで後壁補強を行った.病理組織学的所見で平滑筋腫と診断した.子宮円靱帯原発腫瘍の報告例は少なく,腹腔鏡手術を施行したのは本症例が初めてであった.子宮円靱帯に発生する平滑筋腫は非常に稀であるが,鼠径部腫瘤をきたす疾患として子宮円靱帯を原発とする腫瘍は鑑別診断に挙げるべき疾患であると考えた.

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© 2016 日本臨床外科学会
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