日本臨床外科学会雑誌
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症例
アミロイド沈着を伴った肺形質細胞腫の1例
松本 理恵今井 茂郎
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2016 年 77 巻 8 号 p. 1932-1936

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抄録

症例は80歳,男性.右肺下葉の結節影に対し近医で経過観察中,CTで増大傾向を認め紹介となった.胸部CTでは右肺S9に14mm大の結節影認め,肺癌を疑い手術施行した.胸腔鏡でアプローチ,腫瘍部を針生検したが迅速病理検査で悪性所見を認めなかったため,胸腔鏡下下葉部分切除を行った.最終病理検査では病変部に成熟型の形質細胞が多数増生を認め,間質にはアミロイドの沈着を認めた.免疫染色ではIgA-κ陽性形質細胞が多数で,extraosseous plasmacytoma with nodular pulmonary amyloidosisと診断された.血清および尿にM蛋白を検出せず,骨髄検査でも異常を認めず,肺原発髄外性形質細胞腫と診断した.術後2年経過したが,無再発生存中である.髄外性形質細胞腫の多くは上気道や口腔に発生し,肺に原発するものは稀である.若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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