日本臨床外科学会雑誌
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症例
残胃GISTに対しLECSを施行した不完全型Carney's triadの1例
下里 あゆ子竹島 雅子村田 祐二郎奥田 純一寺島 裕夫岸田 由起子
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2016 年 77 巻 8 号 p. 1975-1979

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抄録

症例は23歳,女性.18歳時にめまい・倦怠感を主訴に受診し貧血を指摘,上部消化管内視鏡検査で多結節性のGISTを認め,病変が広範であることから腹腔鏡下幽門側胃切除を施行した.経過観察中,22歳時に左肺舌区に10mm大の結節を指摘され,胸腔鏡下肺部分切除術を施行した.肺軟骨過誤腫の病理診断であった.その半年後に上部消化管内視鏡検査にて残胃小弯側に15mm大の粘膜下腫瘍を認め,粘膜切開下生検でGISTの病理診断であった.23歳時に腹腔鏡・内視鏡合同胃局所切除を施行し,残胃を温存した.本症例は胃GISTに肺軟骨過誤腫を合併する不完全型Carney's triadの稀な1例であり,通常の成人型胃GISTとは異なった特徴を持つ.本症例を合わせた本邦報告12例のまとめを含め,文献的考察を加えて報告する.

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© 2016 日本臨床外科学会
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