日本臨床外科学会雑誌
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症例
局所切除にて27カ月無再発の90歳直腸肛門部悪性黒色腫の1例
北川 克彦中本 博之小田 道夫山中 英治高月 権治玉井 千里
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2016 年 77 巻 8 号 p. 2016-2021

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抄録

局所切除を施行して愁訴が無くなり良好な経過をたどった超高齢者の直腸肛門部悪性黒色腫の1例を経験した.症例は90歳の女性.2カ月前からの排便時出血を主訴に来院した.直腸診で直腸肛門部に直径20mmの有痛性で,弾性硬の腫瘍を触知した.更なる精査目的で下部消化管内視鏡検査を施行した結果,歯状線に基部を有する有茎性の腫瘍を認めた.生検の結果は直腸肛門部悪性黒色腫であった.腹部骨盤CTにて両側鼠径リンパ節腫大も認められたが,本症例においては高齢でperformance status(以下PS)3のため根治的手術(腹会陰式直腸切断術およびリンパ節郭清術)は困難と考えられた.しかしながら排便時出血の症状が強く,本人と家族の希望により局所切除のみ施行した.術後経過は良好で27カ月経過した現在も局所再発や遠隔転移はない.両側鼠径リンパ節腫大も不変の状態である.

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© 2016 日本臨床外科学会
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