2016 年 77 巻 8 号 p. 2074-2078
59歳,男性.左腎細胞癌と診断され腹腔鏡下左腎切除術を施行された(clear cell type,G2 T1bN0M0 stage I).術後,脳転移に対し開頭腫瘍切除術,予防的放射線療法が施行され,多発肺転移に対し薬物療法が施行された.術後2年5カ月目に黒色便を認め,上部消化管内視鏡検査において胃体中部大彎前壁に易出血性の隆起性腫瘤が認められた.分子標的薬導入に際し,出血・穿孔を回避する目的で胃局所切除術を施行され,免疫組織学検査において腎細胞癌の胃壁転移と診断された.腎細胞癌の胃転移は比較的まれであり,外科的切除を施行した1例を経験したので報告する.