日本臨床外科学会雑誌
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臨床経験
皮下埋没型中心静脈カテーテル留置術のアプローチ方法
良田 大典松島 英之中村 有佑佐藤 元彦小松 優治權 雅憲
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2016 年 77 巻 9 号 p. 2138-2142

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抄録

医療技術の発達による平均寿命の延長,および化学療法の進歩に伴い,皮下埋没型中心静脈カテーテルの必要性が増加してきている.留置法は鎖骨下静脈穿刺法による留置法が一般的であるが,気胸やpinch off syndromeなどの重篤な合併症が報告されている.当科では鎖骨下静脈穿刺法に橈側皮静脈カットダウン法を併用しており,両群で手術時間や術後合併症などに関して比較検討を行った.
2013年4月から2015年8月の間に当科で施行した224例を対象とした.開始アプローチは橈側皮静脈カットダウン法190例,鎖骨下静脈穿刺法34例,平均手術時間は25.0分であった.全合併症率は9.8%,気胸は3例(1.3%)であり,全例が鎖骨下静脈穿刺で発症し,感染も有意に高率であった(P=0.0478).皮下埋没型中心静脈カテーテル留置術では橈側皮静脈カットダウン法が,安全な手技と考えられた.

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