2016 年 77 巻 9 号 p. 2159-2164
乳腺筋線維芽細胞腫は,間葉系細胞由来の良性腫瘍で,比較的稀な疾患であり今回経験した症例を報告する.症例は66歳の女性.左乳房腫瘤に気づき翌日来院した.左ECD領域に3.0×2.5cm弾性硬の腫瘤を触知し,軽度乳頭陥凹を認めた.MMGで左ECD領域に2.3×2.0cm分葉状の腫瘤を認め,充実腺管癌を疑った.エコーでは左ECD領域に2.3×2.7×2.5cm分葉状,境界明瞭,粗糙,低エコー,不均質腫瘤を認め悪性を疑った.穿刺吸引細胞診では検体不適正だが,紡錘形細胞がみられた.針生検では,紡錘形の間質細胞が束状に交錯し葉状腫瘍を強く疑った.悪性腫瘍も否定できず生検を行った.病理組織診は紡錘形の腫瘍細胞が束状にみられ,免疫染色でサイトケラチン・S-100蛋白が陰性で,ビメンチン・アクチン・α-SMAが陽性のことより,筋線維芽細胞腫と診断した.