日本臨床外科学会雑誌
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症例
原発性硬化性胆管炎の経過中に発症した出血性胆嚢炎の1例
東堂 まりえ酒井 健司森本 芳和大澤 日出樹畑中 信良山崎 芳郎
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2017 年 78 巻 11 号 p. 2514-2519

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抄録

症例は38歳,男性.2011年より原発性硬化性胆管炎(以下PSC)の診断で当院消化器内科にて経過観察していた.2014年7月に右季肋部痛と黒色便を認め救急外来を受診した.造影CTで胆嚢は緊満腫大し,壁肥厚を認め,胆嚢内に高吸収域を呈し,血腫の存在が示唆された.出血性胆嚢炎が疑われ,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.摘出標本では胆嚢体部に10mm大の隆起性病変を認めた.病理診断では同部位の粘膜が潰瘍によって消失し,腫瘤状の凝血塊が形成していた.また,周囲胆嚢壁には慢性胆嚢炎の所見を認めた.出血性胆嚢炎は比較的稀な疾患であり,今回はPSCによる慢性胆嚢炎を背景として,急性胆嚢炎に起因した潰瘍から出血し発症したと考えられた.本邦においてPSCに合併した出血性胆嚢炎の報告は認めず,希少な症例と考え報告する.

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