日本臨床外科学会雑誌
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症例
術前に大動脈弁狭窄症に対してTAVIを行った消化器悪性腫瘍の2例
塚本 千晶末澤 孝徳八木 朝彦矢野 匡亮大橋 龍一郎
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2017 年 78 巻 12 号 p. 2635-2639

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抄録

大動脈弁狭窄症(aortic valve stenosis;AS)は非心臓手術における危険因子であり,ガイドラインではASの治療を先行することを推奨している.ASに対する低侵襲な治療法として経カテーテル的大動脈弁置換術(transcatheter aortic valve implantation;TAVI)が近年登場した.ASを合併した大腸癌に対してTAVI施行後に開腹術を行った症例を経験したので報告する.(症例1) 79歳,女性.ASと上行結腸癌の診断にて,TAVIを施行後14日目に開腹右半結腸切除術を施行し,14日後に独歩転院となった.(症例2) 89歳,女性.ASと直腸癌による小腸イレウスの診断にて,TAVIを施行後11日目に回盲部切除術,人工肛門造設術を施行し,20日後に自宅退院となった.TAVIはその低侵襲性から悪性腫瘍合併症例に対する短期間の治療戦略として期待できる.

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© 2017 日本臨床外科学会
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