日本臨床外科学会雑誌
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症例
高度貧血を契機に発見された回腸pyogenic granulomaの1例
真船 太一民上 真也土屋 淳一福岡 麻子松下 恒久榎本 武治大坪 毅人
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2017 年 78 巻 2 号 p. 321-326

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抄録

症例は40歳,男性.黒色便とめまいを認め,前医を受診.血液検査でHb 6.2g/dlと貧血を認め,造影CTで小腸出血が疑われ当院搬送となった.再度施行したCTで造影剤の漏出は認めなかったが,7.5mmの造影効果に富む腫瘤を認め出血源と考えられた.小腸内視鏡では回腸に約10mm大の亜有茎性腫瘤を認めた.腫瘍から出血はなく,その後,貧血の進行を認めなかったため,上下部消化管内視鏡検査で他に出血源がないことを確認し,単孔式腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行.病理検査ではpyogenic granulomaと診断された.Pyogenic granulomaの消化管発生は極めて稀であり,小腸原発の本邦報告は自験例を含めわずか12例に過ぎない.本疾患の多くは高度貧血をきたすため,原因として念頭に置くと共に,ダイナミックCTから小腸内視鏡,そして鏡視下手術といった診断治療のアルゴリズムが有用と思われた.

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