2017 年 78 巻 2 号 p. 383-387
症例は72歳の女性.2013年6月,非結核性抗酸菌症で入院中に撮影した造影CT検査で,18mm大の脾動脈瘤を偶発的に認めた.瘤径が小さく無症状であったため,経過観察とした.1年後の造影CT検査では,瘤径19mmとわずかに増大したのみであった.2015年11月,化膿性椎間板炎で整形外科に入院中,フォロー目的に行った造影CT検査で,脾動脈瘤の増大(19→47mm)を認めた.急速に増大しており治療適応と考えたが,患者の同意が得られず経過観察とした.しかし,その後3カ月間でさらに瘤径の増大(47→51mm)を認め,破裂のリスクが非常に高いと判断し,手術の方針とした.動脈瘤は脾門部に近い部位で認め,瘤切除および脾臓摘出術を施行した.術後に肺炎を合併したが,その他の経過は良好で術後20日目に整形外科に再転科とした.経過観察中に瘤径の急速な増大傾向を認め,破裂前に切除しえた1例を経験したため,報告する.