日本臨床外科学会雑誌
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症例
局所陰圧閉鎖療法により瘻孔閉鎖した術後小腸皮膚瘻の1例
永川 寛徳藤田 文彦井上 悠介中山 正彦高槻 光寿江口 晋
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キーワード: 腸管皮膚瘻, NPWT, 術後創離開
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2017 年 78 巻 4 号 p. 738-741

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抄録

はじめに:腸管皮膚瘻に対し,局所陰圧閉鎖療法(negative pressure wound therapy:NPWT)で治療した報告は少ない.今回,小腸皮膚瘻をNPWTで治療した症例を経験したため報告する.症例:77歳,男性.偶発的に発見された腹部大動脈瘤に対し,人工血管置換術を施行された.食事開始後,臍下部腹部正中創より便汁の漏出を認め,術後39日に回腸人工肛門造設を行った.後日,虚血性腸炎が原因であると判明したため,病巣部の切除および横行結腸に人工肛門造設を行ったが,術後11日に創離開と腸液漏出を認めた.CT検査から小腸吻合部の縫合不全による小腸皮膚瘻と考えられた.外科的修復は困難と判断し,NPWTを施行したところ,開始から98日で小腸皮膚瘻は閉鎖,術後174日に転院となった.まとめ:難治性の小腸皮膚瘻の状態であっても,NPWTによる腸液・膿瘍の持続吸引により治癒できる症例が存在する.

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