日本臨床外科学会雑誌
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症例
2型上部直腸癌による成人腸重積の1例
米山 哲司江口 武彦
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2017 年 78 巻 4 号 p. 803-808

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抄録

症例は78歳,男性.右大腿骨骨折にて当院整形外科入院中に,貧血・血便を指摘され,当科に紹介となった.腹部CTにて直腸にmultiple concentric ring signがみられ,下部消化管内視鏡検査では上部直腸に腫瘍を認めたことから,直腸癌による腸重積と診断した.直腸虚血の所見はみられず,待機的に手術を行うこととなった.手術では,腹膜翻転部付近に直腸の重積を認めた.整復不能であり,重積部位を含めた直腸切除を行い,人工肛門を造設し手術を終了した.病理検査はRa,type2,60×35mm,tub2,pT3,INFb,ly1,v1,pN0 (0/14),pRM0,pDM0,pPM0,pStage IIであった.成人の腸重積,特に直腸発症頻度は非常に稀であり,中でも2型直腸癌による腸重積の報告は本邦に5例しかない.文献的考察を加えて報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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