2017 年 78 巻 5 号 p. 1077-1083
小児胆嚢結石は比較的まれな疾患であるが,食生活の欧米化と腹部超音波検査の普及に伴い報告例が増加している.今回,われわれは無症状の小児特発性胆嚢結石の3例を経験したので報告する.症例1:12歳,女児.腰痛精査のCTで指摘された.症例2:9歳,男児.生後2カ月時に尿路感染症に罹患し,精査で施行された腹部超音波検査で指摘された.以後,長期間経過観察されていた.症例3:13歳,女児.12歳時に施行した腹部超音波検査で指摘された.いずれの症例も胆嚢結石に関連する症状は認めず,基礎疾患を伴わない無症状の特発性胆嚢結石と診断した.一定期間経過観察したが消失しなかったので手術適応と判断し,multi-channel portを用いたreduced port surgeryで腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.小児胆嚢結石は無症状であっても,成人と異なり有症状化のリスクが高く,一定期間経過観察して消失しなければ手術療法を検討すべきである.