日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆嚢摘出40年後に発症した遺残胆嚢管癌の1例
中村 広太池田 直也金村 哲宏上野 正闘榎本 浩士
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キーワード: 遺残胆嚢管癌, 胆嚢管癌
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2017 年 78 巻 5 号 p. 1091-1096

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抄録

症例は65歳,女性.25歳時に急性胆嚢炎,総胆管結石症に対して胆嚢摘出術,総胆管切石術,T-tubeドレナージ術を施行された.65歳時に心窩部不快感を主訴に近医を受診し,施行された腹部超音波検査で遺残胆嚢管と胆嚢管結石が疑われたため当科紹介となった.腹部造影CTで胆嚢管腫瘍を指摘され,術前ERCPでの胆汁細胞診,擦過細胞診では悪性所見を認めなかったが画像上悪性所見が疑われたため,手術を施行した.総胆管断端の術中迅速病理検査で胆管断端の悪性所見陰性を確認し,胆管切除術リンパ節郭清,肝管空腸吻合術を施行した.術後は良好に経過し,術後9病日に退院した.病理検査の結果,adenosquamous carcinomaを検出しpT2(SS)N0M0 Stage IIと診断した.遺残胆嚢管癌は非常に稀な疾患であり,文献的考察を加え報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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