日本臨床外科学会雑誌
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症例
重篤なたこつぼ型心筋症を発症し手術で救命した特発性副腎出血の1例
堀 佑太郎徳家 敦夫永嶺 彩奈森岡 三智奈岡本 三智夫原田 敦
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2017 年 78 巻 5 号 p. 1107-1111

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抄録

副腎出血は種々の原因で起こりうるが,特発性副腎出血は稀な疾患である.今回,重篤なたこつぼ型心筋症を伴う特発性副腎出血を経験したので報告する.
47歳の女性.頭痛,動悸を主訴に受診.検査にてカテコラミン過剰によるたこつぼ型心筋症と診断.呼吸循環動態が不安定で第2病日には挿管人工呼吸管理,大動脈内バルーンパンピング,経皮的心肺補助装置導入が必要な状態にまで悪化した.造影CTで右副腎出血と右副腎腫瘤を認め,内分泌学的精査で尿中・血中カテコラミン高値であり褐色細胞腫が疑われ,手術目的に当科紹介となり,第19病日に右副腎摘出術を施行した.術後呼吸・循環動態は安定して経過し,約1カ月で退院となった.病理学的検討では正常副腎組織内の出血のみで褐色細胞腫などの副腎腫瘍は認めず,特発性副腎出血と診断した.特発性副腎出血により重篤な心筋症を発症し手術で救命しえた本症例に関して,文献的考察を加えて報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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