2017 年 78 巻 5 号 p. 926-930
乳房部分切除術後の放射線照射野に発生する血管肉腫は,頻度は低いが重要である.われわれは転帰の異なる2例を経験したため報告する.症例1は77歳の女性.右乳癌に対し乳房部分切除術を行い,術後に放射線療法を施行した.術後6年目,照射野に血管肉腫を発症し,化学療法を施行した.効果は得られず,広範囲皮膚合併乳房切除術を施行したが,多発肝転移により再発術後19カ月で永眠した.症例2は53歳の女性.左乳癌に対し乳房部分切除術を行い,術後に放射線療法を施行した.術後4年2カ月目,照射野に血管肉腫を発症し,広範囲皮膚合併乳房切除術を施行した.乳癌に対する内分泌療法のみ継続しているが,再発術後50カ月間再発徴候を認めていない.