日本臨床外科学会雑誌
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症例
筋皮弁移植により閉鎖した難治性腸管皮膚瘻の1例
金田 明大山田 兼史横溝 博平田 稔彦
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キーワード: 腸管皮膚瘻, 筋皮弁
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2017 年 78 巻 6 号 p. 1292-1296

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抄録

難治性腸管皮膚瘻に対して,大腿筋膜移植と腹直筋弁形成により治癒しえた症例を経験したので報告する.症例は85歳の男性.他院で早期胃癌に対し幽門側胃切除術(Roux-en-Y再建)を施行された.術後7日目に汎発性腹膜炎の診断で当院紹介となった.術後膵液瘻による十二指腸断端瘻と汎発性腹膜炎に対し,開腹ドレナージと腸瘻造設を施行した.経過中,上腹部正中に胃空腸吻合部遠位の挙上空腸による腸管皮膚瘻を形成し,唇状腸瘻の状態となった.腹腔内の炎症と癒着が軽減した後に,瘻孔閉鎖と大腿筋膜移植および皮弁形成を行った.術後3日目に食事を開始したが,術後9日目に皮弁部からの消化液の漏出を確認し,腸管皮膚瘻の再発を認めた.再度炎症と癒着の沈静化を待って,腸管皮膚瘻の瘻孔閉鎖と腹直筋弁移植を行った.再手術後27日目に食事を開始し,再発なく治癒しえた.

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© 2017 日本臨床外科学会
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