日本臨床外科学会雑誌
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症例
緊張性気腹を呈したエアーガンによるS状結腸穿孔の1例
公文 剣斗木村 圭佑村田 年弘宇田 征史小野田 正
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2017 年 78 巻 6 号 p. 1332-1335

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抄録

症例は49歳,男性.仕事中,同僚の悪戯で清掃用のエアーガンにより肛門に圧搾空気を注入され,その後意識障害を起こし救急要請となった.救急隊到着時,意識レベルはJCS III-300,来院後に気管挿管し人工呼吸を開始した.腹部膨満著明であり,CT検査で大量の腹腔内遊離ガス像を認め,腹腔内臓器は中心に偏移し,下大静脈の虚脱を認めた.下部消化管穿孔による緊張性気腹と診断し緊急手術を行った.開腹時,皮下脂肪織は白色調であり潅流障害が疑われた.開腹と同時に多量のガスが排泄され,著明な腹部膨満,皮下脂肪の色調は改善した.S状結腸に約5cmの長軸方向に裂創を伴う穿孔,便塊の腹腔内への漏出を認め,穿孔部を含むS状結腸部分切除および人工肛門造設術を施行した.術後経過は良好で術後18日目に退院した.圧搾空気により消化管穿孔をきたし緊張性気腹を発症した稀な症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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