2017 年 78 巻 7 号 p. 1485-1489
浸潤性微小乳頭癌(invasive micropapillary carcinoma;以下,IMPC)は乳癌全体の1-2%とされる.今回われわれは,IMPCと診断された男性乳癌の1例を経験した.症例は71歳の男性.増大傾向を示す右乳房腫瘤に気付き当院を受診.右乳頭直下に2cmの腫瘤を触知,超音波で内部不均一な不整形低エコー腫瘤として描出された.造影CTでは濃染腫瘤として描出され,明らかなリンパ節腫大は認めなかった.針生検でIMPCの診断であった.右乳癌(cT1cN0M0)の診断で右乳房切除術を施行した.併施したセンチネルリンパ節生検で転移陽性だったため,腋窩郭清を施行した.術後病理診断はIMPC,pT1c,ER陽性,PgR陽性,HER2陰性,Ki67 index 8%であった.リンパ節は合計26個中7個が転移陽性であった.IMPCと診断された男性乳癌の報告は稀で,若干の文献的考察を加えて報告する.