日本臨床外科学会雑誌
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症例
腋窩リンパ節転移と鑑別を要しRotterのみに転移したC領域乳腺髄様癌の1例
吉中 平次永田 彩子溝口 資夫野元 優貴末吉 和宣喜島 祐子
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2017 年 78 巻 8 号 p. 1726-1732

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抄録

髄様癌は全乳癌の1~2%と稀で,辺縁は比較的明瞭で限局し,核小体の明瞭な幼弱で大型の癌細胞が腺腔を作らず髄様に増殖し,ER・PgR・Her2陰性のtriple negativeを示すことが多く,乳管内癌成分が不明瞭で間質に著明なリンパ球浸潤を伴うことを特徴とする.このような髄様癌が腋窩部に発生したことで転移性リンパ節悪性腫瘍との鑑別が困難な症例を経験した.症例は63歳の女性で,右腋窩部の3cm大の腫瘤を主訴に受診した.画像所見では右腋窩脂肪織内に3cm大の腫瘤と胸筋間に1.4cm大のリンパ節腫大を認めた.細胞診や針生検では原発不明のリンパ節転移が最も疑われた.診断と治療を兼ねて腫瘤を含めた右乳房外上側の部分切除と胸筋間~腋窩のリンパ節郭清をen blocに行った.最終診断は外上部乳腺組織辺縁から発生した原発性乳腺髄様癌(p-T2N1aM0;Stage IIB)であった.

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© 2017 日本臨床外科学会
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