日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
術前N因子の決定に難渋した腋窩リンパ節原発Castleman病併存乳癌の1例
恒川 昭二小倉 信子河合 潤
著者情報
ジャーナル フリー

2017 年 78 巻 8 号 p. 1733-1737

詳細
抄録

症例は64歳,女性.検診PETで左腋窩リンパ節に陽性所見があり,その後の精査で左乳房に6mmの乳癌が発見された.超音波検査では左腋窩リンパ節は3個腫大しており,穿刺吸引細胞診は判定困難であった.腫大リンパ節が乳癌の転移であるのかどうかを調べるためCT lymphographyを行った.センチネルリンパ節に連なる3個のリンパ節が造影され,その大きさと位置からそれらはPET陽性のリンパ節と考えられた.術前診断はN1としたが,センチネルリンパ節生検を行って一連の腫大リンパ節の病理診断を確認することとした.術中センチネルリンパ節に連なる3個のリンパ節を調べたところ,乳癌の転移はなく,術後Castleman病と病理診断された.PETなどで腋窩リンパ節に陽性所見があると,乳癌からの転移が最も考えられるが,たとえ乳癌が併存したとしても,乳癌の転移以外の可能性があることを考慮する必要がある.

著者関連情報
© 2017 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top