日本臨床外科学会雑誌
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症例
Pseudo-Meigs症候群をきたしたS状結腸癌同時性卵巣転移の1例
松浦 正徒伊丹 淳牧野 健太堀江 和正姜 貴嗣京極 高久
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2017 年 78 巻 8 号 p. 1859-1865

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抄録

症例は32歳,女性.腹部膨満感を主訴に当院を受診した.腹部CT,MRI検査で胸腹水貯留と両側卵巣に巨大多房性嚢胞と充実性部分が混在する腫瘤と,大腸内視鏡検査でS状結腸に2型の腫瘍を認めた.癌性腹膜炎を伴うS状結腸癌と卵巣癌の重複癌と診断し,症状緩和目的で試験開腹術を行った.術中迅速腹水細胞診は陰性で腹膜播種は認めなかった.そのため,根治切除が可能と判断し,S状結腸切除術,人工肛門造設術と子宮両側付属器摘出術を施行した.免疫組織化学検査でCDX2が陽性と術後胸腹水が速やかに消失したため,pseudo-Meigs症候群をきたしたS状結腸癌の両側卵巣転移と診断した.術後化学療法を6カ月間投与した後に人工肛門を閉鎖し,術後1年6カ月経過した現在,再発は認めていない.
過去の症例報告では比較的稀とされているが,化学療法も含めた検討の報告は少なく,文献的考察を加え報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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