日本臨床外科学会雑誌
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症例
全身化学療法で完全奏効と6年生存が得られた胆嚢癌術後肝再発の1例
小田切 理木村 憲央石戸 圭之輔工藤 大輔豊木 嘉一袴田 健一
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2017 年 78 巻 8 号 p. 1893-1899

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抄録

症例は54歳の女性で,胆嚢癌に対し当科で拡大胆嚢摘出術,幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.pT3N0M0 fStage IIIであり,gemcitabine(GEM)による術後補助化学療法を開始した.術後5カ月で肝S5,S7に再発腫瘍が出現し,GEM+S-1併用(GS)療法に変更した.GS療法11コース施行後に肝再発は消失した.合計19コース施行後,流涙のためS-1を中止しbiweekly GEM療法に変更した.14コース施行後も再発を認めず,GS療法開始から2年が経過していたためGEMの投与を中止した.術後6年6カ月,化学療法終了後4年1カ月経過の時点で無再発生存中である.胆嚢癌術後再発が全身化学療法によって完全奏効に至り長期生存が得られた症例の報告は稀少であり,再発例に対するGS療法の有用性が示唆された.

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© 2017 日本臨床外科学会
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