日本臨床外科学会雑誌
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症例
TAPP法で修復したPlug法術後の再々発鼠径部膀胱ヘルニアの1例
佐藤 宏彦石川 大地豊田 剛鷹村 和人三浦 連人
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キーワード: 膀胱ヘルニア, TAPP法, 再発
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2020 年 81 巻 1 号 p. 115-120

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抄録

症例は69歳,男性.57歳と64歳時に右鼠径部ヘルニア修復術の既往あり.半年前から右鼠径部の膨隆を認め,当科を受診した.鼠径部除圧下腹臥位CT検査で右下腹壁動静脈の内側から膀胱の右前壁の脱出を認め,膀胱ヘルニアと診断し,TAPP法を施行した.手術所見では前回挿入されたUPPが右内鼠径輪に展開され,右下腹壁動静脈内側に陥凹を認め,日本ヘルニア学会鼠径部ヘルニア分類ではRec II-3,膀胱ヘルニア分類ではparaperitoneal type(腹膜側型)であった.Bard®3D MaxTM Light Mesh(L size)を用いて修復した.術後6カ月の現在,再発なく経過している.膀胱ヘルニアに対しTAPP法施行例の報告は17例と少ない.膀胱損傷の回避には術前診断と術中の膀胱下腹筋膜を意識した腹膜前腔剥離が重要である.今回,われわれはUPP法術後の再々発鼠径部膀胱ヘルニアに対し,TAPP法で修復した1例を経験したので報告する.

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© 2020 日本臨床外科学会
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