2020 年 81 巻 1 号 p. 14-19
目的:乳癌転移症例の治療では転移巣の生検が推奨されているが1)~5),侵襲性から躊躇されることも多い.今回,画像検査で乳癌肝転移と診断され肝生検を施行した症例について,その臨床的意義を検討した.
方法:2016年9月以降,画像検査で乳癌肝転移と診断され,肝生検を行った10例を対象とした.
結果:平均年齢は56歳,乳癌の診断から肝生検までの期間は平均90カ月.3例は肝臓原発の悪性疾患,7例は乳癌肝転移と診断された.乳癌肝転移の7例のうち,3例(43%)で原発巣と肝転移巣の生物学的特性が異なっていた.6例において肝生検結果で治療方針が決定された.肝転移7例の生検後生存期間は平均11カ月.合併症は,疼痛2例,出血1例,発熱1例といずれもGrade1であった.
結語:超音波ガイド下肝生検は合併症も軽度であり,治療方針決定に有用な手技であると考えられた.