日本臨床外科学会雑誌
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症例
17歳女性にみられた乳腺葉状腫瘍(径13cm)の1例
児玉 渉大田 里香子野坂 祐仁大野 貴志浜崎 尚文吹野 俊介
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キーワード: 葉状腫瘍, 若年
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2020 年 81 巻 1 号 p. 26-30

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抄録

乳腺葉状腫瘍の発生頻度は乳腺腫瘍の0.5%以下で,好発年齢は40歳台であり10歳台は稀である.われわれは若年発症の急速増大した巨大葉状腫瘍の1手術例を経験した.症例:17歳の女性.2015年4月から左乳房に腫瘤を自覚.急速増大し,同年7月に当科を初診.左乳房下縁からB領域に主座をおく13cm大の平滑弾性軟の腫瘍を認めた.造影CT所見は,左乳房ABD領域に13.5×8.5cmの巨大腫瘤で,境界明瞭・辺縁整,比較的均一に淡く造影された.針生検では線維腺腫と診断.しかし,腫瘍が大きく葉状腫瘍の可能性があり,マージンを1.5cmとる腫瘍摘出術を行った.左乳房下溝部を皮切し,術後乳房の変形は認めなかった.術後病理結果は,良性葉状腫瘍の診断だった.術後4年で再発はない.結語:線維腺腫と葉状腫瘍は鑑別困難な場合があり,若年者の治療に際しては根治性の他に,整容性や将来の授乳機能の温存,精神面にも配慮しなければならない.

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