日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下にbarbed suture糸で胆嚢頸部断端を処理した合流部結石の1例
加藤 嘉一郎加藤 洋介俵 広樹澤田 幸一郎小竹 優範原 拓央
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キーワード: barbed suture, 胆嚢, 腹腔鏡
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2020 年 81 巻 5 号 p. 949-952

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抄録

Corlette II型をきたした慢性胆嚢炎症例に対し,腹腔鏡下で胆嚢を亜全摘した胆嚢頸部をbarbed suture糸(V-LocTM,Covidien社)を用い縫合閉鎖した.縫合後は胆汁漏,その他胆管閉塞・狭窄なく経過した.

急性期および慢性期の腹腔鏡下胆嚢亜全摘出術において頸部処理にbarbed suture糸を用い縫合することは状況に応じて選択しうる手技と考えられた.体腔内で結紮を行うことによる弊害がないという利点があるものの,縫合自体が修練を要する手技であること,barbed suture糸は縫い直しがきかないため局所の損傷や周辺の胆道・脈管等への誤操作を生じると修復が極めて困難になると考えられることから,その適用には慎重な検討が必要と思われた.また,短期的な問題はないと考えられたが,長期的な適否に関しては今後の症例の蓄積,観察が必要であると考えられた.

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